離婚の基礎知識

 離婚を考えているが、何をどうすればよいか分からない人のために、離婚に関する基礎知識をまとめました。

協議離婚

協議離婚とは夫婦間の話し合いにより離婚する方法で、夫婦の話し合いで双方が合意すれば、裁判所など第三者の手を借りずに当事者だけで婚姻を解消します。
日本国内の離婚全体の8~9割を占めています。

手続と届出

結婚のときと同じく市区町村長への届け出のみで、理由その他は問いません。
・署名押印
当事者の自著(本人の直筆が原則)と押印(認印でも可)が必要です。
・証人
婚姻届と同じく成人2人の証人が必要です。
・届出地
当事者の本籍又は住民登録された所在地のみ届出が可能です。
・親権者
未成年の子供がいる場合は、親権者の決定と、親権者の署名が必要です。親権者が決まっていない場合は届出が受理されません。

離婚の成立

届出を戸籍係に提出した時点では効力が発生せず、届出が法律の定める要件にあっているか審査を行った後で受理されます。ただし、離婚成立は受付の日付となります。
また、双方の離婚の意思と、書類の提出の両方が必要となりますので、片方の当事者のみの意思で離婚届を提出した場合は無効となります。

離婚届の不受理申立

相手に勝手に離婚届を提出されそうな場合や、離婚届に押印したものの離婚届を提出する前に思い直した場合は、離婚届不受理申立書を提出する事により6ヶ月以内の期間であれば任意の期間提出される離婚届を無効にすることができます。

調停離婚

当事者のどちらかが離婚したくない場合、財産分与、慰謝料、養育費等の金銭的な問題や、子供の親権等、当事者同士の話し合いだけで決着がつかない場合等に、家庭裁判所が関与し、調停委員会による当事者双方の理解のための説得が行われることを調停離婚といい、協議離婚と同じく厳格な離婚理由が不要、申立手続が簡単、費用が安い等の特徴があります。

申し立て

申し立てをするには口頭、書面のどちらでも可能で、申立書は各家庭裁判所にて無料で手に入ります。また、申し立ては当事者のどちらかのみで、第三者による申し立ては行えません。
費用は、調停申立書の印紙代の900円と相手の呼び出しのための切手代のみで、夫婦の戸籍謄本が一通必要となります。
調停申立書には親権者、養育費、財産分与、慰謝料の希望額を記載し、その金額を元に調停が進められます。

調停の流れ

1.申し立てをすると、家庭裁判所より調停期日の指定と呼び出し状が届きます。期日は裁判所が決定しますので、変更をする場合は期日変更申請書の提出が必要となります。
2.呼び出し状の期日に家庭裁判所へ出頭します。本人の出頭が必要となり、本人が出頭しない場合は調査官が出頭勧告を行います。正当な理由がなく出頭しない場合は5万円以下の過料に処せられます。本人が出頭しない場合は調停不成立となりますが、不出頭が理由で不利益にはなりません。
また、弁護士の依頼や、やむを得ない理由がある場合は家庭裁判所に許可を得れば代理人の出頭も認められております。
3.最初に家庭裁判所に着いたら待合室に入ります。まず申立人が調停室に呼ばれ、調停についての説明を受けた後、離婚調停を申し立てた経緯等を話し合います。その後、申立人は待合室に戻り、相手方が調停室に呼ばれ同様に説明を受けた後、申立人の主張を伝えたり、相手方の主張を聞いたりします。これを2回繰り返します。通常は1回で調停が成立することはありませんので、次回の離婚調停の期日が提示され、双方が合意したら第1回の離婚調停は終了となります。

調停の成立

調停により双方の合意が得られ、調停員会に認められると調停が成立し、成立した内容をすべて調停証書に記載される事になります。この調書作成後には不服申立てできませんので、調書作成時には必ず内容をよく確認する必要があります。
離婚調停終了後1,2週間程度で調停証書が郵送されてきますので大切に保管をして下さい。

離婚調停のメリット

最大のメリットは調停成立時に作成される調停調書に記載された慰謝料、養育費等の滞納時に強制執行手続きを取ることにより、相手の財産を差し押さえする事ができます。
また、強制執行を行わなくても、家庭裁判所は、書面もしくは口頭で申し出る事により、支払いをするよう無料で相手方に勧告を行います。この勧告には法的な力はありませんが、心理的にはかなりの効果があります。
次に、男女1名ずつ調停委員が間に入り意見を調整いたしますので、意見の調整がしやすく、基本的には交互に調停委員との話し合いが行われるため、相手と全く顔を合わせずに調停を進める事ができます。

離婚調停のデメリット

離婚調停は平日の昼間にしか行われないので、離婚調停のために休みを取らないといけない場合があります。また、離婚調停の間隔が1,2ヶ月空くため、スムーズにまとまらないと時間がかかってしまいます。
さらに、間に入る調停委員次第で離婚調停の内容に影響が出やすいため、当たり外れの差が大きく出ます。

審判離婚

調停離婚が不成立の場合に、家庭裁判所が双方の利益になると認められる場合、当事者の様々な事情を考慮して、強制的に離婚を成立させることができます。

異議申し立て

裁判所の審判に不服がある場合は審判の告知より2週間以内に異議を申し立てる事ができます。異議申立てにより審判離婚は効力を失います。

裁判離婚

協議離婚も成立せず、調停の場でも成立しなかった場合、どちらか一方が訴える事により裁判離婚という手段をとることになります。離婚訴訟では親権者、監護権者の指定、養育費、財産分与、慰謝料等についても離婚と同時に決めて欲しいと申し立てる事ができます。訴訟については弁護士に依頼せずとも行うことはできますが、かなりの法律知識が必要なため訴訟を検討する段階で弁護士を選任しておいた方がよいと思われます。

法廷離婚事由

民法770条に定められている「法廷離婚事由」がなければ裁判は起こせません。「法廷離婚事由」は以下の通りです。

民法770条(裁判上の離婚)
1.夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2.裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

離婚手続き

離婚の手続きは以下の流れで行います。
1.訴状
申立ては調停等と異なり「訴状」をもって行われます。訴状には判決をどのようにして欲しいかや、その理由を明記し、親権・財産分与についても同時に申立てます。また、訴状についても法律の知識が必要となるため、弁護士をたてるのが一般的です。
2.裁判
訴状提出後に提出した側が原告、された側が被告となり口頭弁論が行われます。この弁論で尋問が行われ、判決へと進みます。また、裁判所が、裁判の進行中に判決ではなく、和解による離婚を勧める場合もあります。
3.離婚届け
判決後に離婚届けとなりますが、裁判離婚では離婚届以外に、判決の謄本、確定証明書の提出が必要となります。

財産分与について

財産分与とは、婚姻中に夫婦で貯めた財産を清算することです。預貯金だけでなく、家財道具、不動産、車、有価証券など、夫婦どちらかの所有名義になっていたとしても、もう一方の協力もあったと考慮され、共有財産とみなされます。結婚前に貯めた貯金、嫁入り道具、親から相続した財産、贈与された財産などは共有財産とはなりません。

財産分与の方法

財産を評価し、総財産額が決まったら、双方でどのような割合で分与するかを決めます。妻が専業主であっても、妻の協力により夫が稼いできたと考えられるため、等分する場合が一般的とされています。
夫婦のどちらかが婚姻期間中に勝手に負った借金に関しては、保証人でなければ、もう一方が支払う義務はございません。ただし、家賃、生活費などのためにおった借金については、もう一方に黙って負った借金であっても、離婚後も連帯して支払う義務が生じます。

財産分与の請求

まずは夫婦の協議から始まり、話し合いでの解決が困難な場合は、裁判所に申し立てをします。家庭裁判所の管轄となりますが、離婚の訴訟を行う時は地方裁判所へ合わせて申立てできます。期間は離婚後2年以内となりますので、期間内に請求をしないと権利が消滅します。

税金について

原則として、受け取り、支払いの双方とも課税はありませんが、過剰な受け取りの場合には贈与税がかかる場合もあります。

慰謝料について

慰謝料とは、民法770条「離婚を求める事由」を基準に、精神的苦痛をお金に換算して支払われるものです。性格の不一致など、どちらか一方に責任があるわけではない理由での離婚では慰謝料は発生しない場合もあります。

慰謝料の相場

慰謝料の算出は当事者を取り巻く環境に左右されるため、一律でいくらといった基準はあまり存在しません。基本的には、有責度の程度、精神的苦痛の程度・期間、婚姻期間、夫婦関係、相手の収入、子供の有無、離婚後の要扶養などを考慮した上で、決まります。
また、慰謝料の請求は、離婚から3年以内にしないといけません。

慰謝料の支払い

慰謝料の支払いで注意しなければいけないのは、支払い方法についてです。金額的に高額になることが多いため、分割払いの約束をする場合が多いのですが、離婚の際に決定した慰謝料、養育費を支払わない男性が多いという問題が社会問題にもなっています。
そのため、一括支払いにするか、分割の場合は初回でできる限り多い金額を支払い、その後の支払いについては、慰謝料の金額を入れた示談書を公正証書をもって作成するなど、支払いの確保が重要となってきます。

養育費について

養育費とは、子供の受け取る権利があるお金です。親子という関係から発生するもので、親権に関係なく、父母の資力に応じた金額を子供に支払う必要があります。また、生活保持義務を負うものですので、お金がないという理由で支払わなくてもよいものではありません。

養育費の算定方法

養育費は、現在子供を育てるのに必要な費用、今後成長に伴ってかかる費用、父母の財産、今後の経済状況などを考慮して決定します。話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立て、調停でも不成立となった場合は、家庭裁判所が審判します。
離婚訴訟の場合は、養育費の請求をして判決をもらうことができます。
養育費の相場は状況によって変わってくるため一律には決まりませんが、統計的には子供一人の場合で月2~6万円、子供2人の場合で月4~6万円で決められているようです。

養育費の発生期間

一般的には、子供が社会人として自立するまでといわれていますが、必ずしも未成年者をさすわけではなく、親の財力、学歴などの家庭環境に合わせて、高校卒業まで、18歳まで、成年に達するまで、大学卒業までなど様々です。

養育費の請求期間、減額、増額請求

養育費の請求には時効がありませんので、一方の親が負担していた期間がある場合は、その期間の分も他方の親に請求する事ができます。
また、必要な費用の変化や、収入の変化に合わせて、免除または減額、増額を求める事ができます。話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所に養育費増額請求の調停、養育費減額請求の調停を申し立てます。

親権・監督権について

親権者とは

親権者とは、子供の生活に関することや財産管理についての権限だけでなく、子供の法定代理人にもなり、親権者ではない者は干渉できません。
親権者が死亡した場合は、親権者の遺言により新しい親権者が決まりますが、遺言が無い場合は家庭裁判所が決定します。
親権者にならなくても、相続権、扶養義務はあります。

監護者とは

監護者とは、実際に子供を引き取って身の回りの世話をする人のことをいいます。一般的には子供を引き取り育てる側が親権者と監護者を兼ねていますが、親権の身上監護権の部分のみを切り離し、親権者とは別に監護者を定めることもできます。
例えば、父母の話し合いで、父親が親権者、母親が監護者となった場合は、父親が法定代理人・財産権の管理などを行い、母親が子供を引き取り、身の回りの世話や教育を行うということになります。

面接交渉について

離婚後、監護者でない方の親が子供に会うことを面接交渉といい、親は面接を請求することができます。面接交渉は、子供の利益、福祉を基準とし、会うことにより悪影響が認められる場合は、その権利は制限されますが、監護者が一方的に子供を合わせないというようなことはできません。

面接交渉権が認められないケース

以下のようなケースの場合は、子供に悪影響を与えるとして面接の禁止、親権者または監護者同伴の場で合う等の対策が考えられます。
・親権者として失格とみなされている場合
・支払い能力があるにも関わらず養育費を負担しない場合
・子供や監護者へ暴力をふるったり、悪影響があったりする場合
・子供が面接交渉を望んでいない場合

面接交渉に関する取り決め事項

面接交渉については、離婚の際の協議または家庭裁判所で決定します。その際に、面接の頻度、時間、宿泊の有無、場所、電話・メール・手紙などのやり取り、誕生日プレゼント、学校行事への参加など具体的な内容を決めておくとよいでしょう。
また、面接実施の際には、家庭裁判所調査官に援助や関与を求める事も可能です。

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